繋辞伝けいじでんの名言
繋辞伝(けいじでん)は、易経の解説書的な位置づけですが、これも深い智慧の書です。易は東アジア圏の文化の根底を支えるものです。思想、哲学、宗教、医学、政治体制などなど、その影響は巨大です。易は、二つであることで認識できますが、一つでは認識できない不思議を示します。自我の原理です。
難しい言葉で書かれている【繋辞伝けいじでん】ですが、これは易経の解説書です。運が良くなりたい方は、ぜひ参考にしてください。こういう当たり前のような教訓、名言が開運のきっかけになると思います。
吉人(きつじん)の辞(じ)は寡(すく)なく、躁人(そうじん)の辞(じ)は多(おお)し。【繋辞伝けいじでん】立派な人物は重厚でことばが少ない。軽薄で落ち着きのない人は口数が多い。
幾(き)を見て作(た)つ。【繋辞伝けいじでん】君子は、もののきざしが見えたら、ただちにそれに対する適当な処置をする。
善(ぜん)を誣(し)うるの人は、其(そ)の辞(じ)游(ゆう)す。【繋辞伝けいじでん】人の悪口をいう人間、他人の善を歪曲して悪口とする人間は、その言葉がどこか浮いていて、落ち着きが無い。
男女(だんじょ)精(せい)を構(あわ)せて、万物(ばんぶつ)化生(かせい)す。【繋辞伝けいじでん】男と女が、一体となり精力を合わせたとき、万物が生れてくる。
遠(とお)からずして復(かえ)れば、悔(く)いに祇(いた)ること无(な)し。【繋辞伝けいじでん】過ちと分かったら、あまり深入りしないうちに、もとの道に戻っていくのがよい。そうすれば後悔に至ることはない。
幾(き)を知るは其(そ)れ神(しん)か。【繋辞伝けいじでん】「幾」は起こるきざし。物事のきざしを見て、早くも事件の起こるのを察知するは、神というべきか。
力(ちから)小(しょう)にして任(にん)重(おも)きものは、及(およ)ばざること鮮(すく)なし。【繋辞伝けいじでん】力が小さいにも関わらず任務が重いものは、たいてい災いに及ぶものである。
退(しりぞ)いて密(みつ)に蔵(ぞう)す。【繋辞伝けいじでん】有為(ゆうい)の人は、天下が平穏であれば、活動をやめてひそかに身をかくす。そうして、事あればまた出て世につくすために、みずからの徳を養う。
幾事(きじ)密(みつ)ならざるときは、則(すなわ)ち害(がい)成(な)る。【繋辞伝けいじでん】運命を定めるような機密のことを、やたらに他にもらせば、必ず害を引き起こす。
善(ぜん)を積(つ)まざれば、以(もっ)て名を成(な)すに足(た)らず。【繋辞伝けいじでん】どんなよいことでも、ちょっとした善だけでは、何事をもなしえない。善をさらに積んでいったときに、はじめて名をなすことができる。
時(とき)を待ちて動く。【繋辞伝けいじでん】時機を待ち、好機をとらえて行動する。君子たる者は、その時期まで、必要な準備をして、才芸を身につけておく。それが障害なく成功する道である。
安(やす)けれども危(あや)うきを忘れず。【繋辞伝けいじでん】現在が安泰であっても、いつ危ないことが起こるかもしれないという注意を忘れてはいけない。その心がけが身の安全、国家の安全には必要だ。
天(てん)は尊(とうと)く地は卑(ひく)くして乾坤(けんこん)定(さだ)まる。【繋辞伝けいじでん】天は高く、地は低い。その天地の姿にかたどって、易の乾の卦と坤の卦との位置が決まる。社会においても、高き者と低き者それぞれに地位が定まれば、それによって社会全体が安定する。
乾道(けんどう)は男を成し、坤道(こんどう)は女を成す。【繋辞伝けいじでん】乾は積極性の道であり、坤は消極性の道である。創始し、やりとおす力は男の多くが持つべきものであり、これを受けて完成し守り抜く力は、女に多く備わっている。
乾(けん)は易(い)を以て知(つかさど)り、坤(こん)は簡(かん)を以て能(よ)くす。【繋辞伝けいじでん】乾は平易な道をもってすべてのことをなし、坤は簡単な道をもって万事をよく整えていく。世の中には複雑で難しいことが多い。これを処理するには、難しい理屈、複雑な方式では成功しない。
仰(あお)いでは以(もっ)て天文(てんぶん)を観(み)、俯(ふ)しては以(もっ)て地理を察す。【繋辞伝けいじでん】天体の実相、地上の森羅万象(あるいは山川草木)を観察して、人事をさとる。<是(こ)の故(ゆえ)に幽明(ゆうめい、眼に見えないもの)の故(こと)を知る>
易簡(いかん)にして天下の理得(りう)。【繋辞伝けいじでん】物事を複雑に考えず、また困難なものとしても考えず、平易簡単、単刀直入に直視するとき、天下の真理をつかむことができる。
易は天地と準(じゅん)ず。故に能(よ)く天地の道を弥綸(びりん)す。【繋辞伝けいじでん】易の教えは天地の道と相並び、これに準ずるものである。それゆえに易の教えはまた天地の道をととのえおさめる唯一の方法である。
精気は物と為り、遊魂(ゆうこん)は変を為す。【繋辞伝けいじでん】陰精(いんせい)と陽気が集まって物質を作り、遊魂(ゆうこん)と降魄(こうはく)が散じて変化を作る。万物は、陰と陽、精と気の組み合わせででき、陰陽精気が極まると、内にある魂魄(こんぱく)が飛び散り、新たな変化を生む。
天(てん)を楽(たの)しみ、命(めい)を知る、故(ゆえ)に憂(うれ)えず。【繋辞伝けいじでん】天命を悟ってこれに安んじ、これを楽しむ。その心の構えのできたとき、人に憂いはなくなる。
盛徳大業(せいとくたいぎょう)至(いた)れるかな。【繋辞伝けいじでん】道徳も立派にでき上がり、その道徳からあらわれた事業も盛大の極(きょく)だ。
生生(せいせい)之(こ)れを易(えき)と謂(い)う。【繋辞伝けいじでん】天地自然の姿を見ると、陽は陰を生じ、陰は陽を生じ、交替変化してやまない。その陰陽の変化を易(えき)というのである。易では、人間界の生死、盛衰もこの理に従っているものと解する。
富有(ふゆう)之(こ)れを大業と謂(い)い、日新(にっしん)之(こ)れを盛徳(せいとく)と謂(い)う。【繋辞伝けいじでん】大事業を豊富に成し遂げることを大業といい、日一日ごとにわが学術を新たに進歩せしめることを盛徳(せいとく)というのである。
易簡(いかん)の善(ぜん)は至徳(しとく)に配(はい)す。【繋辞伝けいじでん】易の易簡の善、すなわち乾坤(けんこん)の平易簡単の道は、聖人至上の徳に通じる。
書(しょ)は言(げん)を尽(つ)くさず、言は意(い)を尽くさず。【繋辞伝けいじでん】文字で書いたものは、言葉で語るものを全て表現することができない。言葉で語るものは、心意を言い尽くすことができない。
形よりして上(かみ)なる者(もの)、之(こ)れを道と謂(い)い、形よりして下(しも)なる者、之れを器(き)と謂う。【繋辞伝けいじでん】天地宇宙の間には、形あるものと形のないものがある。五感で感じるものは器といわれ、形のないものは道という。形而上の語源。
窮(きゅう)すれば則(すなわ)ち変(へん)じ、変(へん)ずれば則(すなわ)ち通(つう)ず。【繋辞伝けいじでん】何事も、窮すれば必ず変化が生じ、変化が起これば必ず通じる道が生じてくるものだ。
易は聖人の徳(とく)を崇(たか)くして業(ぎょう)を広むる所以(ゆえん)なり。【繋辞伝けいじでん】易の教えは、聖人を助けて、その徳性を高め、その事業を広大にするものである。
天地位(てんちくらい)を設けて、易(えき)其(そ)の中(うち)に行わる。【繋辞伝けいじでん】天は高きに位置し、地は低きに位置する、そして、易すなわち、陰陽万象(いんようばんしょう)の交替変化は、その天地の間に行われる。
謙(けん)とは恭(きょう)を致(いた)して、以(もつ)て其(そ)の位を存(そん)する者なり。【繋辞伝けいじでん】謙であるということは、まず自分の行いに慎みをもち、それによって、現在立つ自分の地位を保全するものである。
乱の生ずる所は、則(すなわ)ち言語以(も)て階(かい)を為(な)す。【繋辞伝けいじでん】階は、ものごとが生じる糸口。乱が生じる糸口は、人々のことばの用い方にある。だからことばは慎まねばならない。
二人(ににん)心を同(おな)じゅうすれば、其(そ)の利(り)、金を断つ。【繋辞伝けいじでん】二人の人々が本当に同心一体になれば、その鋭利さは、堅い金属をも断つことができる。二人が心を同じくしていけば、そのことばは真に芳しい蘭の香りのごときである。「断金の交わり」「金蘭の交わり」
物を開き務めを成す。【繋辞伝けいじでん】易は、吉凶を占ってものを開発し、すべての仕事を成し遂げさせるものである。開成。
黙(もく)して之(こ)れを成(な)し、言(い)わずして信(しん)あるは、徳行(とっこう)に存(そん)す。【繋辞伝けいじでん】黙して語らずとも、成績が上がり、言葉を発しなくとも、人の信任を受ける。それはその人物の徳行によるものである。
天地(てんち)の大徳(たいとく)を生(せい)と曰(い)う。【繋辞伝けいじでん】天地の徳のうち、最も大いなるものを生という。それは万物の生を遂げさせようとして生成発達させてやまないものである。人の道もまた、物を生かそうとする考えを根本とすべきだ。
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