天文易という呼称について
天文易という言い方がある。
この名前を最初に知ったのは、初代潮島郁幸先生の『天文易』だった。この中で、この天文易は永鳥真雅先生が創始したとある。内容は、土占い(ジオマンシー)のシステムを使ったホラリーである。この占いは簡便でもあるし、占星術の持つ網羅性も有している優れた技法である。
ちなみに永鳥真雄先生は『考星術の研究』というテキストを発行しており、ここから隈本有尚先生の影響がうかがわれる方である。
この天文易という呼称であるが、阿部泰山先生が昭和四年に発行した『推命学活用吉凶開発伝』(後に再発行されて『天文易学六壬神課初学詳解』となる)の序文に「推命学活用吉凶開発伝一名天文易」とある。本の内容は六壬神課である。
この本の凡例では「一、本書は唯だ「天文易」と名称して発刊なすべき予定なりしも、天文易とのみにては星学又は天体に属する易占法と解釈せらるるを以て『推命学活用吉凶開発伝』と改称し諸賢の批判研究を乞はんとす。」とある。
このことを永鳥先生は知ってか知らずか、西洋の易のようなシステムであるジオマンシーを使い、また占星術を使ったものを「天文易」と呼称したのだ。阿部先生が懸念された「星学又は天体に属する易占法と解釈せらるる」を、そのままやったのだ。
ジオマンシーは明治期から盛んに紹介されており、一般の占い雑誌にも何度も掲載されている。占星術も隈本先生が明治期から雑誌等で盛んに紹介されている。この影響を受けた永鳥先生が工夫して作ったのだろう。
最初に阿部先生が六壬を「天文易」と呼称し、永鳥先生が土占いと占星術を組み合わせたものを「天文易」と呼称したということだろうか。だからなんだってことだが面白いと思う。
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